大阪地方裁判所 昭和39年(レ)239号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕そこで進んでその余の金額即ち準消費貸借契約によつて生じた金員の支払義務と本件家屋の所有権移転登記手続義務とが同時履行の関係にあるかどうかについて考えるに、まず右家屋および土地の売買残代金の支払義務と右登記手続義務とが同時履行の関係にあることは被控訴人において明らかに争わないので自白したものとみなされるところ、およそ売買代金債務について準消費貸借契約をなした場合旧債務の間における同時履行の抗弁権を新債務について存続させるか否かは第一に専ら当事者の意思によつて決せられるべきものであり、第二に当事者間に特別の意思表示がないときは、当事者としてはより多く穏和な方法を採つたものと解して同時履行の抗弁権は新債務についても存続するものと扱うのが妥当である(大審院昭和八年六月一三日判決、集一二巻一四八四参照)と解される。されば当事者間において格別の意思表示がなされたことを認めることの出来ない本件においては同時履行の抗弁権は依然として存続し控訴人の右四〇、〇〇〇円の債務は被控訴人から前記家屋につき所有権移転登記を受けるのと引換給付の関係にあるというべきであるから、被控訴人において右抗弁権の消滅事由の主張立証を何らなしていない本件においては、右四〇、〇〇〇円の債務に関する限り控訴人の抗弁は理由がある。(井上三郎 高田政彦 清水悠爾)